清々しい風が吹くこの場所は「きむたかホール」と呼ばれています。
うるま市にある「きむたかホール」は、地域住民の芸術文化や人材育成の拠点づくりを目的とし、2001年5月にオープンしました。
「きむたか」とは漢字で書くと「肝高」。
“気高い”“品位ある”などを意味し、うるま市勝連の高い生活文化を讃える、町の美称です。
この「きむたかホール」で、現代版組踊「肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)」を見ることができると聞いて、さっそく足を運んでみました。
現代版組踊「肝高の阿麻和利」とは
「組踊」というのは、沖縄に古くから伝わる伝統芸能。
音楽・舞踊・台詞からなり、能楽や歌舞伎、京劇などをアレンジして発展したと言われています。
「現代版組踊」は、組踊をベースに現代音楽とダンスを取り入れた、いわば沖縄版ミュージカルです。
現代版組踊「肝高の阿麻和利」の主人公は、勝連城10代目城主「阿麻和利」。
歴史書によれば、悪政を続ける前城主の望月按司(もちづきあじ)を倒して勝連城の按司となった「阿麻和利」は、広い海を持つ城の主として東アジアとの貿易を進め、大陸の技術などを積極的に取り入れました。
平民出身の城主ということで、「阿麻和利」は、当時の勝連の民から篤い信頼を得ていたようです。
しかし、急速に力をつける「阿麻和利」を危険視した首里の尚泰久王と対立し、「阿麻和利」は滅ぼされます。
琉球の歴史の中で、勝連城の「阿麻和利」は首里王府への反逆者としてとらえることが多いのですが、果たして本当に彼は首里王府に背いたのでしょうか。
謎に包まれた「阿麻和利」の真実が、勝連の子どもたちの視点で解き明かされていく…。
現代版組踊「肝高の阿麻和利」はそんなストーリーになっています。
現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、1999年に当時の勝連町教育委員会が企画し、2000年3月に初めての公演を迎えます。
公式サイトによると、初演以来、公演回数は200回を超え、観客動員は延べ13万人を達成しました。
この日も、きむたかホールの客席はほぼ満席。
現代版組踊「肝高の阿麻和利」が大人気の舞台であることを感じました。
登場する人たちはみんな中高生
公演当日の感動を伝えるにはどうしたらいいでしょう。
動画を見ていただくのがベターでしょうか。
この現代版組踊「肝高の阿麻和利」に出演している役者、歌をふくめた音楽担当、ダンサーたちはすべて、うるま市に住む中学生と高校生で構成されています。
現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、もともと、地域の子ども達の感動体験と居場所づくり、ふるさとを再発見する機会作り、子どもと大人が参画する地域おこしを目的に企画されたもの。
2009年には日本ユネスコ協会連盟「第1回プロジェクト未来遺産」に登録されるなど、高い評価を受けています。
驚いたのは、彼ら彼女たちが大きな自信と誇りを持ってこの舞台に臨んでいることです。
一人として手を抜かず、一人として下を向かず、「肝高の阿麻和利」に関わることが本当に楽しそう!
一緒に写真を撮ってもらった「阿麻和利」役の方も、阿麻和利の奥方「百十踏揚(ももとふみあがり)」役の方も、尚泰久王や金丸、賢勇役の方も、化粧を落とせば、動画のようなあどけなさが残った中高生なんです。
年齢や性別に関係なく、これだけのことに打ち込める。
「肝高の阿麻和利」の舞台の素晴らしさは、そこにあるのかなと感じました。
◆まとめ◆
2000年3月の初演以来、公演回数208回を数え、観客動員は延べ13万人を達成した、現代版組踊「肝高の阿麻和利」。
中高生による舞台としては、ここまでロングランを続ける舞台は他にないかもしれません。
なぜこんなに長く続けられているのか。
そう考えたとき、以下の3点が挙げられるのではないでしょうか。
1、舞台が質の高いものであること
2、地域の保護者が積極的に協力していること
3、なによりこの舞台に携わってる方々が誇りを持って取り組んでいること
だからこそ、観客は深い感動を得るのだろうし、「また『肝高の阿麻和利』を見に来たい」と感じるのだと思います。
さて、現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、毎年3〜4回の時期に分けて公演を行っているようです。
今年は9月の公演の前に、7月の那覇での公演があるようですよ。
大人気のこの舞台、一見の価値ありです!
詳しくは公式サイトをご確認ください。
◆2015年7月公演の紹介◆
現代版組踊「肝高の阿麻和利」
期日:2015年7月11日(土)〜12日(日)
時間:11日(土)は午後4時開演・午後7時開演
12日(日)は午後1時開演・午後4時開演
場所:沖縄県那覇市久茂地2−2−2タイムスビル3F『タイムスホール』
公式サイト:現代版組踊「肝高の阿麻和利」
地図: