命と自然を描く天描画家! 大城清太さんの魅力に迫る

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2月4日は「立春」。
寒さは厳しいけれど陽ざしが春めいてくる頃という意味で、中国から伝わった二十四節気では一年の始まり。最初の15日間を指す言葉でもあります。
そんな節目の時期にはホッと一息ついて、足下を見つめる時間を作りたいですね。

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昨年の11月に足を運んで感銘を受けた展示会がありました。
首里観音堂で開催された「大城清太 天描画展 IN 首里観音堂」です。
実は今日まで、何度もレポートを書こうと思っては消して、となかなか思う通りに書けなかったのですが。意を決して! あの感動を綴ってみたいと思います。

大城清太さんってどんな人?

2005年から「天描画家」としての道を本格的に歩み始めた大城清太さん。
そもそも「天描画」とは、線を使わずに点の集合で表現する点描という手法で描かれたもので、大城清太さんが描く作品のテーマに合わせて「天描」という漢字で表現しているようです。

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大城清太さんの描く天描画のテーマは、自然界の生き物や人の姿から龍や仏様など目に見えないものまで様々ですが、その背景には、「命と自然」という一貫したテーマがあります。
大城清太さんは、村で神事に仕える「神人(かみんちゅ)」をされていたおばあさまから、幼い頃からたくさんのメッセージを受け取って来たのだそう。
大城清太さんが作品を生み出すとき、そこにはおばあさまから語り継がれた数々の言葉が込めれています。

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首里観音堂と大城清太さんのつながり

2015年11月14日(土)〜23日(祝)までの10日間、那覇市首里の観音堂(正式名称:慈眼院)にて「大城清太 天描画展 IN 首里観音堂」が開催されました。

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大城清太さんが天描画家として活動を始めてから、2015年でちょうど10周年。
「大城清太 天描画展 IN 首里観音堂」は、周りの人たちに支えられながら10年間、天描画家を続けて来られたことへの感謝を表現したいと開かれたものです。

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今回の展示会会場の首里観音堂のご本尊は、大城清太さんの生まれ年である子年の守護であることから、小さい頃から縁が深かったそう。
この場所での展示会は、本堂に絵を奉納した縁から実現しました。

大城清太天描画展:作品紹介

大城清太さんの展示会には、いくつかの特徴があります。
まず1つ目は、展示されている作品の撮影が自由なことです。
そしてもう1つが、展示会の期間中、1日に何度か大城清太さん本人から作品解説を聞く機会が用意されていること。

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清らかなお寺の境内の中で、ご本人に解説をしていただきながら観賞する天描画。
本当に素晴らしい時間でした!
お話の中から特に心に残ったものを、作品と共にいくつか紹介したいと思います。

大城清太天描画:「天徳」

龍に乗った「天徳」が優しい表情で地上を見つめています。
大城清太さんは、おばあさまに「物事をやると決めた人の周りには流れができる」と教わったそうです。
その、やると決めた人間の周りにできる流れが「天徳」です。

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「たとえば、小さい大城清太っていうのが地面にいて、『展示会やるぞ、おー!』って自分の中で何か決めます。そうしたら、上にいる天徳が『清太は何かやるって決めてるな。じゃあ龍、応援して来て』って言って。龍がばーって下りて来るらしいんですね。下りて来たら、龍が、清太に必要な人はこの人とこの人とって言って、自分の周りに他力を作るらしいんです。」(大城清太さん談)

大城清太天描画:「地徳」

「天徳」と対になる「地徳」は、麒麟という動物に乗っている子どもの様相です。
やると決めて流れに乗った人間の前に現れ、目標の実現に必要な方法を教える存在で、やると決めた人間の前にしか現れない存在なんだそう。

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「やる・やらないって決めかねていたら、やってください。やったら絶対に見える景色も違うし、自分の考え方も変わって来ると思います。自分がやるって決めたら、流れを作るものもいるし、方法を教えるものもいるし、すべて目に見えるものも目に見えないものも、全てが力を貸すよって話が、この『天徳』と『地徳』の作品の中には込められています。」(大城清太さん談)

大城清太天描画:「起流観音」

柔らかな表情の女性の横顔が印象的な作品で、今回の展示会のチケットやポスターのイメージでもあります。
この絵は、弥勒菩薩という仏様がモデルになっています。
弥勒菩薩の役割は、世の中の方向が違う方向に向いたとき・世の中が荒れたときに、救済の手を差し伸べることです。

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「ばあちゃんの言葉で、人っていうのはみんな弥勒の力を持っているらしいんです。この弥勒の力は何かと言うと『生まれ持った役割』らしいんですね。人は必ずひとりひとり生まれて来た意味と役割と責任っていうのがあるらしいんです。その役割を自分でちゃんとわかった人っていうのは、流れを作ることができるんだよって、そういうばあちゃんの言葉を基に描いたのがこの作品です。」(大城清太さん談)

まとめ

先日、「大城清太 天描画展 IN 首里観音堂」に行って来ました。
大城清太さんの天描画は、おばあさまから受け取ったメッセージから溢れたインスピレーションを基に描かれたものばかりで、見れば見るほどその作品の持つ力を感じずにはいられません。
これからもご本人の言葉や作品を通して、素敵なメッセージを私たちに届けてくれるだろうことがとても楽しみです。

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大城清太さんの作品は『ギャラリー天描』で見ることができます。
要望があればご本人が対応してくれることもあるそうなので、作品に込められた思いを聞きながら、ゆっくりと鑑賞してみたいですね。

場所の紹介

『ギャラリー天描』
沖縄県豊見城市豊崎1-39-102号
時間:午後1時〜午後7時
休業:毎週水曜日、第2第4日曜日
公式サイト:天描画家 / 大城清太
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沖縄と人と泡盛を愛する、 ハブリッドの自由人担当のクダカです。